2015年より施行された「人を対象とした医学系研究に対する倫理指針」はそれまでの「疫学研究に関する倫理指針」および「臨床研究に関する倫理指針」と比べて順守すべき事項が増えて、また、厳格化しており、臨床研究のハードルは高くなったことは間違いありませんが、一方で世界的な基準と同等になったとも言えます。

世界基準の倫理指針

現在の倫理指針は、ICH-GCP(日米欧医薬品規制調和国際会議による「ヒトを対象として医薬品の評価を行う臨床試験の基準」)及び欧米の制度を踏まえて作成されています。 日本の場合、治験は国内のGCPという基準で実施されており、これはICH-GCPよりも厳しい基準なのですが、治験以外の多くの臨床研究が該当した「疫学研究に関する倫理指針」や「臨床研究に関する倫理指針」はICH-GCPと比べると緩い基準であったといえます。
言い換えるとこれまで国内の臨床研究(治験以外)は世界基準よりもだいぶハードルの低い倫理指針で実施されていたともいえます。

考え方と対応

確かに現在の倫理指針は臨床研究実施上のハードルはありますが、一方で臨床研究が医学・医療の発展のためのものであり、また、欧米と肩を並べてその新規性や進歩性を探求していく上では、欧米と同等の基準でその信頼性や倫理面が担保されることは必要であると思われます。
問題は現在の制度で必要となる手間やリソースをカバーするための体制をどのように作るかという事になります。
この点は自施設で余力がない場合にはCRO(医薬品開発受託機関)やSMO(治験施設支援機関)などのアウトソースを活用することが良いと思われます。これらは大規模な臨床研究だけでなく、小規模な研究をサポートするところもあるので、これらのアウトソースを活用して制度上の課題をクリアしていくことが良いと思われます。

当社では、これまで経験がないが自施設の研究を実施を検討されている先生方や研究発表の伴う倫理指針関連の対応について、ご相談に応じますのでお気軽にご連絡ください。
データベース検索を活用して文献手配・文献翻訳・文献調査を行い、資料作成を手掛けますのでお気軽にご依頼ください。